「幸福はお金で買えない」という説は、ある意味では正しいというのは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・澤口俊之さん。いったいどういうことなのか? 澤口さんが脳科学の視点から解説する。
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「幸せになりたい!」これは誰もが願うことでしょう。ですが、ひと口に「幸福」といっても、幸福の形は人それぞれ。みなさんは、何がどのような状態だと「幸福」を感じることができるのでしょうか?
まずは、女性が結婚相手の条件によく挙げる「年収(収入)」について。
研究の結果によると、「年収」が高ければ高いほど「幸福感」を抱きやすくなるという確かな相関があります。ですがこの相関は、一定の年収以上になるとなくなります。この金額は、アメリカの調査では7万5000ドル(現在の日本円では約600万円)です。この先は、いくら年収が高くても幸福感は上がりません。「幸福はお金で買えない」という俗説は、ある意味で正しいのです。
では何がもっとも深く幸福感に関係するのかというと、それは「家族」です。良好な家族関係が幸福感の主要な源なのです。
幸福感が家族にとって重要なのは、人類がここ数百万年も(おそらく400万年以上)、家族を形成するという形態をとってきたためのようです。
既婚者は未婚者に比べて幸福感をより感じることがわかっています。また、結婚生活にはストレスがつきものですが、夫婦間での“適度な”ストレスは脳機能を高め認知症の予防にもなるという報告もあります。
ですが、実は結婚による幸福の感じ方には男女差があるのです。例えば共働きの場合、男性の年収が女性より多いほうが結婚生活はうまくいきます(1.3倍ほど多いのが良い)。
また、夫からのサポート(家事手伝いなど)はあったほうが良いことは間違いないのですが、サポートはほどほどがよく、あまりサポートされすぎると結婚生活の満足度は下がります。妻から夫へのサポートのしすぎも同様ですが、夫婦関係に関する多くの研究をみると、意外にも夫から妻へのサポートのしすぎはもっとよくないというデータがあるのです。
家事などにおける役割分担を一定にすることも重要です。分担する役割を頻繁に変更すると結婚生活の不満度が増し、離婚のリスク要因にもなってしまいますので注意してください。
※女性セブン2012年12月27日・1月1日号