大学生・大学院生を対象にした、2013年卒の大卒求人倍率調査によると、今年の大卒求人倍率は1.27倍。前年の1.23倍よりもわずかな上昇を見せた。求人倍率が前年度比で上昇したのは、リーマン・ショック時の2008年卒から5年ぶりだ。
前年比で上昇したからといっても、やはり厳しい就職状況であることに代わりはない。そうした中、就職活動における「自己PR」にこだわりすぎるあまり、本末転倒な学生時代を過ごす大学生が多いのだという。昨年就職活動で10社の内定をゲットした有名私立大学卒のAさん(男性)はこう語る。
「自分の周りでは大学1年生の頃からイベントを企画したり、コンペを開いたり、いかに自分の“履歴書”のネタを増やすか勝負、みたいな学生が多かったですね。就活で話すネタ作りのために、大学2年で日本一周をした友人もいます。
ただ、大学に入ってすぐ人脈人脈って、そればっかりの友だちには正直引きました。結局、そいつは“自分探し”のためにインドに行って、その写真をFacebookに自慢げに上げていました。結局ベンチャー企業に入ったみたいだけど、すでに辞めたいと考えているようです」(同前)
せっかく厳しい就職活動を勝ち抜いたにもかかわらず、すぐに辞めたい若者が増えている背景には、“シューカツ”という異様な空気が醸し出す強迫観念も影響しているのでは、とAさんは続ける。
「個性的な自分、他の奴よりキャラが立ってる自分、人より“エッジが効いてる自分”。今思えば、本当にバカバカしいですけど、そういう姿を必死で良いと思わせてしまうムードが“シューカツ”にはあると思います。
それが酷くなると、授業を受けて勉強する、こういう当たり前の学生生活を嘲笑するような人たちもいましたね。本末転倒だな、と思いましたが、自分にとっても笑い事ではありませんでした」(同前)
大学生活のほとんどを“シューカツ”に費やした学生たちは、就職後、いったいどんな人生を送るのだろうか。