「食育」の重要性が叫ばれて久しい。だがその一方で、意外と注目されていなかったのが「排泄」教育である。
小林製薬が今年6月に実施した『小学生のトイレ習慣実態調査』では、「和式トイレが使えない小学生」が6割に上るという実態が浮き彫りになった。
中には、「どう座るのかわからない」という声もあった。
原因は小学校に入学するまで「和式」を使ったことがないため。さらに、学校では46%の児童が排便を我慢すると回答した。学校のトイレで「ウンチをすることは恥ずかしい」、「いじめられそう」との思いがあるという。
こうした子供たちに「排泄」教育を行ない、注目されている人物が、通称「ウンコビッチ博士」だ。
ウンコビッチ博士が全国各地の小学校に出向いて行なう出前授業では、『うんちっち!のうた』に合わせて、手や腰を振る「うんちっち体操」が大人気。「我慢するとおなかがウンチだらけになり大変だ」という博士の話に、子供たちは爆笑しながらも、排泄の大切さを学んでいく。
博士の正体は、NPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表。この取り組みは小林製薬が消臭剤などの売り上げを寄付し、同研究所とともに10年度から実施。和式が主流の学校トイレを洋式に改修する活動と併せて行なわれている。
トイレ大手のTOTOによる昨年の調査では、洋式便器出荷率は家庭99%、学校89%。まだまだ学校の和式は数多く残されている。加藤代表はこう指摘する。
「学校トイレの改装は費用もかかるが、排泄は食事と同じように大切なことで、我慢させては健康を害してしまう。保護者や教師が排便をタブー視せず、恥ずかしがらずに子供に教えていくことが重要なんです」
ウンコビッチ博士の奮闘は今後も続く。
※週刊ポスト2013年1月1・11日号