厳寒の季節が到来。インフルエンザの流行シーズンにも突入し、今まさに身体の不調を感じている人もいるのではないだろうか。
そんなときに、私たちの頼れる味方が薬。近年はわざわざ病院へ行かなくても様々な薬品が、薬局やコンビニなどで気軽に購入できるようになったが、薬は「両刃の剣」と呼ばれ、有効性と副作用の危険性を併せ持っているのだ。
薬剤師で『知らないと怖いクスリと食品の危険な関係!』(マガジンハウス刊)著者の堀美智子氏は、十分な知識を持たない人でも簡単に薬を入手、服用できてしまう現状の危うさを指摘する。
「薬には様々な成分が含まれており、飲み合わせによっては作用が様々に変化することがあります。ですから、常用している薬がある場合には、自己判断で別の薬を一緒に飲むことは避けるべきですし、病院へ行く際には、飲んでいる薬を伝えることが必要です」
薬と食べ物や飲み物でも、その飲み合わせ次第で危険な作用を起こすこともあるため、服用には十分な注意が必要だ。
そこで、身近な薬の「注意したい食べ合わせ・飲み合わせ」を、医師・薬剤師に聞いた。
●風邪薬とチーズ
●鼻炎薬とレバー
●解熱薬とキャベツ
薬の飲み合わせが注目されるきっかけとなったのは、「チーズと薬」の組み合わせだったと堀氏はいう。
「フランスのある病院で、入院患者が“食事にチーズが出ると頭痛がする”と訴えたのがきっかけでした。チーズに含まれる成分チラミンには血圧を上げる作用があり、風邪薬(総合感冒薬)や鼻炎薬の成分プソイドエフェドリンにも同様の作用があり、商品に添付されている文書にも、血圧の高い人は使用してはいけないと書いてあります。
血圧が普段から高くない人でも、風邪薬を服用している時に、チラミンが多く含まれるチーズや空豆、赤ワインなどを多量に飲み食いしてしまうと、思わぬ血圧上昇を招きかねません」
プソイドエフェドリンは鼻や咳に効く成分で、市販薬では『パブロン鼻炎カプセルS』『コンタック600プラス』などに含まれている。チラミンを含む食べ物には他に、レバーやアボカド、バナナなどがあり、食べ合わせは避けるべきだ。
※週刊ポスト2013年1月18日号