天皇陛下は宮中祭祀を非常に大事に扱われている。しかし、この宮中祭祀についてマスコミはきちんと報じない、とジャーナリストの山村明義氏は指摘する。
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マスコミは、天皇陛下が国民の幸せを祈る宮中祭祀をほとんど報じない。公の活動を取り上げない一方で、皇族方の私的活動を不遠慮に批判する。
その象徴的な例が、昨年11月、沖縄県糸満市で開催され、天皇皇后両陛下が行幸啓された「第32回全国豊かな海づくり大会」に関する報道である。一部で「県民の中には『天皇訪問』に複雑な思いを抱く人も多く」とか「大会出席に反対するデモがあった」とネガティブに報じられた(いずれも毎日新聞西部版11月21日付)。
しかし実態は違う。
沖縄には格別な思いを持っておられる両陛下は、「提灯奉迎」で歓迎した7000人の沖縄県民に対して、那覇市の宿泊先のホテルの部屋から温かく手を振ってお応えになられた。提灯奉迎に参加した沖縄県民はこう証言する。
「両陛下がお泊まりになったお部屋から、提灯奉迎行列に参加した沖縄県民に向けて照らされるライトが目に映りました。両陛下はホテルから我々に対していつまでも手を振っておられて、本当に感動的な光景でした。沖縄県民はオスプレイ問題などで本土に強い反感を持っていると思われていますが、天皇陛下のご訪問に対しては、ほとんどの県民は歓迎しています」
多くのマスコミはそれらの真実を報じず、「反天皇」の印象を国民に植えつけているわけである。
戦後、皇室についてのマスコミ報道は、国民の皇室への尊敬心を意図的に隠蔽し、国民との対立を煽る方向に向けられてきた。
そのような心ない報道や偏向報道に対して、もちろん陛下は不満を述べられることはない。ただひたすら国民のために祈り、国民をいたわることで、あるべき皇室の姿を示されてきた。
日本に迫り来る苦難に対して臆することなく敢然と戦う精神。その一方で守るべきものを守る、それこそが天皇と日本人の精神性そのものだからだ。
※SAPIO2013年2月号