安倍政権の誕生とともに、韓国の報道が一層喧しくなった。自民党の仕事始めで「君が代」が歌われたことに噛みつくなど、余計なお世話である。こうなった理由はなぜか。韓国の事情に詳しい、大分県立芸術文化短大の下川正晴教授はこう語る。
「歴史問題を“お家芸”としている韓国にとって、日本に久しぶりに安定した“右派政権”が戻ってきたことが、脅威であることは間違いない。ただその一方で、韓国がここまで安倍氏の方針に、過剰に反応するのには理由があります。
それは安倍氏の経済政策について。民主党政権のゴタゴタで沈んだ日本経済を、韓国はかなり侮ってきましたが、安倍政権誕生によって円安ウォン高に動くなど、明らかに風向きが変わった。日本の輸出企業が息を吹き返し、再び韓国の手強い競争相手になると考えられている。対中包囲でアジア外交を積極的に展開する安倍氏の手腕を、今は畏怖を持って眺めています」
背景にあるのは、安倍首相の掲げる「強い日本」を取り戻されることへの恐怖心やライバル意識か。経済面からくる過剰な「安倍アレルギー」が、“右傾化した日本像”の必死のアピールに繋がっているようだ。
※週刊ポスト2013年1月25日号