世の中には「どうして潰れないのか」と疑問になる価格やサービスを展開しながらも、着実に利益を出し、成長拡大しているビジネスがある。
『QBハウス』などの格安理髪店は、当然ながら客の回転率が利益に直結する。
ファイナンシャルプランナーで『図解!お客には言えない儲けのカラクリ』(永岡書店刊)の監修者・洞口勝人氏の解説。
「従来の理髪店は、ひげ剃りやシャンプーもセットなので、約3500円で1人50分くらいかけていた。実働6時間では1日2万5000円。一方、1000円で10分のスピードカットなら実働6時間で3万6000円。それだけ利益効率がいい」
集客力の差も大きい。従来の理髪店は椅子が3台あれば、1台は遊休椅子なことが多い。しかし、1000円理髪店は設置している椅子をフル稼働させ、「月の平均来客数は4000人にもなります」(洞口氏)
一方、従来の理髪店が来客が少なくてもやっていけるのにも理由がある。
「多くが家族経営で自宅兼店舗なので、家賃がかからず人件費もいらない。2011年の理髪店1店舗あたりの平均年間売り上げは570万円ですが、シャンプーなどの直接原価は10%もいかないので、粗利は約520万円。夫婦だけでやっている場合などは、十分食べていけますよ」(業界関係者)
※週刊ポスト2013年1月25日号