映画監督の大島渚さん(享年80)が1月15日、肺炎のため自宅のある神奈川県藤沢市内の病院で亡くなった。1996年2月、大島さんは訪英中に脳出血で倒れ、右半身と言葉が不自由になってしまう。以来、17年間に及び、妻である女優・小山明子(77才)との闘病生活がスタートする。
「小山さんは仕事をすべて断り、介護に専念しました。それまで女優一筋だった彼女にとっては、食事をつくるだけでも一苦労で、徐々に追い詰められるようになり、小山さん自身もうつ病を患ってしまったんです」(芸能関係者)
しかし、小山は大島さんに“もう一度メガホンを”という思いから、うつ病を克服して介護を続けた。すると大島さんも奇跡的な回復を遂げて、1999年には10年ぶりの映画『御法度』を完成させた。
光明が見えた矢先の2001年6月、大島さんは、今度は十二指腸潰瘍を患い、生死の境をさまよう。手術は成功したものの、大島さんは要介護5の認定を受ける。
「大島さんは排泄の世話なども必要となり、“もう死にたい”と漏らすこともあったそうです」(前出・芸能関係者)
しかし、そんな大島さんを小山は献身的に介護した。彼が映画を見たいと言えば、尿便器を持って車椅子を押して映画館に連れて行く。
「排泄はデリケートな問題で、本人も気にしています。なかなか出ないときは“ママはうんちがニョキニョキ出るのにパパはどうして出ないのかしら”と、ユーモアを交えながらお腹をマッサージすると本人はホッとするんです」
本誌にこんな介護の実情も明かしていた小山。そして、こうも語っていた。
「正直いって無償の愛は無理なんです。見返りとはいわないけど、“ありがとう”の一言がほしい。大島は毎日、惜しみなく“ありがとう”といってくれるんです」
※女性セブン2013年1月31号