「冬の時代」と呼ばれる外食産業にあって、順調に出店攻勢をかけているのが“焼き牛丼”を提供する「東京チカラめし」。「もっと常識をぶち壊せば、人生も社会も面白くなる」と語る三光マーケティング(東京チカラめしの運営会社)の平林実社長に話を聞いた。
──若い世代は守りに入って、挑戦を恐れていると言われる。
平林:そこが大きな問題です。時代の閉塞感は、若者たちの恐れから来ているのかも知れません。他人と同じならばそれで安泰という守りの気持ちです。無理もない話で、親たちが無難な生き方をわが子に強いてきたのです。
親が子供のリスクを排除し、試練を与えぬまま育ててきたのではないでしょうか。子供が大きな夢を語れば、「現実を知らないからそんなこと言えるんだ」と大人が挑戦する心を摘んできたのです。若者たちが挑戦しないのは、私たちの責任でもあるのです。
子供を持つ親御さんには、もし自分の子供が、「女にモテたい」とか「お金を稼ぎたい」と言い出したら、心配するよりもむしろ喜んでほしい。その「無邪気な野心」を大事にしてあげてください、と言いたいですね。
──日本人はストレートな欲望を表に出すことを嫌う風潮が強い。
平林:世のため人のためなんていうキレイごとでは、若い時分は力を出せません。ギラギラした欲望でいい。それが純粋なエネルギーなんですから。そのエネルギーがあるからこそ、無謀な挑戦もできる。
25歳の時に独立し、40年近く走り続けてきたからわかります。商売で悪銭は身につかない。きちんと稼いだ金しか残りませんから、時が経つにつれて必然的に、世のため人のためという心構えが出来てきて、社会に還元しようという気持ちにもなる。だから若いうちは「無邪気な野心」でいいのです。
※SAPIO2013年2月号