自民党への政権交代、安倍首相の経済政策「アベノミクス」による大幅な金融緩和策への期待感から株価が上がっている。そして、次なる注目は日銀総裁人事だが、果たしてどうなるのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。
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「4月の日銀総裁人事を巡って安倍政権が、どの政党と協力体制を構築するのかに注目が集まっている。それというのもどこと組むかで、誰を新総裁にするかが変わってくるからだ」(財務省幹部)
当初財務省内では丹呉泰健元事務次官の名前が次期総裁の最有力としてあがっていた。しかし、自民党が勝ちすぎ、流れが変わってきたという。
日銀総裁人事は国会同意人事だ。衆院定数の3分の2以上を確保した自公連立だが、国会同意人事は法案とは異なり衆院の再議決は認められていない。そのため参院で過半数に達していない自公が、日銀総裁を選任するためには他党の協力が必要不可欠だ。
逆に言えば、自民党が勝ちすぎてねじれが事実上解消してしまったため、自公以外にとって日銀総裁人事が数少ないカードとなったのだ。自公にとって選択肢は2つ。1つは「みんなの党+日本維新の会」。そしてもう1つは「民主党」。
とは言っても安倍政権が掲げる金融政策と民主党のそれは、まさに水と油。それに対してみんなの党の金融政策は、デフレ脱却へ向けて大幅な金融緩和策を進めるというもので、安倍政権の目指す方向とピタリと一致する。安倍政権がどちらと組みたいかは明らかだ。
「その分野での安倍首相の知恵袋は、イエール大学の浜田宏一名誉教授です。その浜田教授は、元財務官僚の高橋洋一氏を通して渡辺喜美みんなの党代表とも通じている。最終的には浜田教授のお眼鏡にかなった人物、ということになるのではないか」(安倍首相に近い自民党幹部)
そもそも現日銀総裁の白川方明氏だって、浜田教授の教え子の一人。もっとも白川体制では、日銀の金融政策を徹底的に批判する浜田教授を完全に無視していると言っていい。
いずれにせよ総裁人事をはじめとする一連の人事においては、白川ラインは徹底的に干される可能性が高くなっている。
※SAPIO2013年2月号