アベノミクスは庶民の生活を直撃する。まずは円安である。
「日本は輸出立国といわれて輸出商品ばかりが注目されがちですが、衣・食・住など生活に関わる物資は輸入に頼りきり。原油や天然ガスなどのエネルギー資源、小麦や大豆などの農作物、家畜の飼料も値上がりするので国産肉の値段も上がります」(慶應義塾大学ビジネススクールの小幡績・准教授)
ガソリンは1ドル=90円前後の現在は1リットル当たり145円程度だ。それが1ドル=100円なら156円程度まで上がる。10円円安になるごとに、満タン30リットルで300円ほど高くなる計算だ。
燃料が高騰すれば電気代も高くなる。一般家庭の電気料金でいえば、10円円安なら年間で4000円程度の支出増になりそうだ。
原油が高くなればそれを原料とするビニール袋やプラスチック製品などの生活必需品も高くなる。サラリーマンの昼食にも打撃がある。
「牛丼店に関していえば、輸入牛肉の価格が上がるだけでなく、深夜営業の電気代も上がる。もし円安がストレートに価格転嫁されれば、牛丼一杯で20~30円の値上げは避けられない」(前出・小幡氏)
ハンバーガーについてだが、日本マクドナルド広報は「為替予約をしているので、円安の影響はすぐに出ません」と説明する。為替予約とは1年後、3年後など一定期間後に、あらかじめ決められた為替レートで金融機関と外貨の売買取引を行なうことで、企業は為替リスクを回避できる。ただし、円安が長期にわたれば、ハンバーガーが値上がりする可能性は大きい。
※週刊ポスト2013年2月8日号