燃料漏れ事故などをはじめ、JALとANAが導入した最新鋭旅客機・B787は全部品の35%が日本製で、“準国産”と大喧伝してきたことが裏目に出て、日本製品の信頼を揺るがす事態にまで拡大した。
韓国紙の中央日報(2013年1月18日付)は、「事故で止まったボーイング787 面目丸つぶれの日本」と報じている。B787の製造もストップすれば、部品を納入している東レや三菱重工、川崎重工、富士重工など日本企業も打撃を被る。
しかし、今回の米FAA(連邦航空局)による原因究明調査では、真っ先に電池メーカーのGSユアサに立ち入り検査に入ったことに疑問の声もあがっている。
「充電・放電を管理するシステムと電池を組み合わせて電源モジュールを製造しているのは仏タレス社で、GSユアサは電池を納めているだけ。米FAAが立ち入り検査をするのなら、まずタレスに入るべきで、この点には違和感を覚えます」(山形大学大学院理工学研究科・白方雅人教授)
充電器についても、英メギット傘下のセキュラプレーン・テクノロジーズが製造しており、そもそもGSユアサもボーイング社の仕様に基づいて電池を開発、製造しているだけである。
航空評論家の秀島一生氏のもとには、ボーイング社に納入しているメーカーの関係者から「我々は、仕様に従っただけだ」との声が届いているという。
「責任はボーイングが負うべきですが、日本の部品メーカーに責任をなすりつける可能性がある。こういう理不尽な行為を許してしまうのは、旅客機の選定にも日米安保が影響するからです。世界的に高いシェアを持つのは欧州のエアバスだが、日本はボーイングを多く買っている」
※週刊ポスト2013年2月8日号