テレビ局各社が視聴率をめぐってしのぎを削っているが、その幕開けは、テレビ放送開始の翌年、1954年だった。元ビデオリサーチ社員で『視聴率の正しい使い方』(朝日新書)などの著書がある藤平芳紀さんが語る。
「当時はテレビのある世帯が少なく、NHKの専属調査員が対象の家庭を訪問して『昨日は何をご覧になりましたか?』と聞き取りで視聴率を調べていました」
1962年には現在も視聴率調査を続けるビデオリサーチ社が調査に参入。テレビに設置するタイプの視聴率測定器が導入されたが、何を見ていたかを記録した紙は調査員が手仕事で回収した。
「そのデータを集計して、金曜日に発表していました。ですから、この日をテレビマンは“魔の金曜日”と恐れていました」(藤平さん)
機械がオンライン化され、放送翌日に視聴率が発表されるようになったのは1977年のこと。テレビを評価する唯一のモノサシであった視聴率の数字に、テレビ局は一喜一憂した。
というのも、視聴率はテレビ局の収入に直結するからだ。視聴率が1日1%アップすると、テレビ局の広告収入は1年間で100億円も上がるといわれる。
民放テレビ局は、放送と放送の合間に流すCMの広告費で収入の大部分を得ている。CMを提供する企業側が、「たくさんの人が見ている番組に」と視聴率の結果を重視するのは当然のことだ。
「今のプライムタイム(19~23時)では、15秒のCM1本あたりの価格は一般的に50万~100万円程度。視聴率がよければ、テレビ局側の言い値で企業に売れますが、視聴率が二ケタを割るような番組だと、半値以下というのもざらです」(大手広告代理店社員)
※女性セブン2013年2月14日号