国際情報

出稼ぎ労働者の賃金払わず夜逃げする中国企業が今年も続出中

 例えば上海の街並みを見る限り、中国の近代化を疑う人はいないだろう。だが、その最前線を詳らかにしてみると、問題はくっきり浮かび上がってくる。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 春節の近づいた中国では、この時期特有のニュースがあふれる。

 多くは密造酒や違法花火の販売や帰省列車の混雑などだが、そうしたニュースに混じって今年も各地でちらはらと見かけるのが、農民工(出稼ぎ労働者)たちの賃金未払い問題である。

 業績の悪い企業が、労働者を使うだけ使って未払い賃金を残したまま計画倒産して夜逃げしてしまう、という事件が各地で相次ぐからである。

 1月22日には真っ昼間にもかかわらず、杭州市の地下鉄1号線が2人の農民工によって約20分間にわたって止められて大きな騒ぎとなった。

 一人の農民工は電車が侵入してきたのを見て線路内に飛び降り、そのまま座り込んでしまった。地下鉄「喬司」駅でのことだ。

 そしてもう一人は、高架橋の防音壁に上って未払い問題を大声で訴えたのだが、途中でわきを走る高圧線に触れてしまい感電。線路側に落下して怪我を負った。

 こうした事件は2007年の広東省で大きな問題となって以降、沿海部を中心にじわじわと広がったものだが、とくにこの二、三年は春節前のニュースとして定着してしまったようでもある。

 景気の減速が明らかになりつつある中国でも、投資はいまだ積極的に行われている。その最も重点的な対象が鉄道方面であることは誰も知るところだ。その鉄道関連の事業でこうした未払いの企業が問題を起こすのは、いよいよ中国の景気後退のレベルが深刻化していることの意味なのだろうか。

関連キーワード

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン