パソコンのインターネットを利用した“ネット検索”は、脳科学的な観点から述べると、度を越した場合、問題あるメディアだという。ではなぜ問題がるのか? 『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が解説する。
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内閣府の調査によると、パソコンの世帯普及率は、1990年代後半からどんどん上昇し、2001年には世帯数の半数を超えました。そして、2011年度の普及率は77.3%にのぼっています。
1960年代にテレビが普及した時、多方面からテレビを問題視する声があがりましたが、パソコンはどうなのでしょうか? パソコンのインターネットを利用した“ネット検索”は、脳科学的な観点から述べると、度を越した場合、問題あるメディアだといえます。
近年では、「ネット中毒障害」通称IAD(internet addiction disorder)という学術用語まで生まれ、ネット中毒や依存をテーマとする論文が増えています。実際に日本でも、ネット依存を治療している医療機関があるほどです。
ちなみに、IADかどうかを調べるには、20項目のテストが試作され、いくつかの指標も提案されています。
具体的な指標は、「(食欲など)基本的な欲求も忘れるほどネットを使う」「無力感や不安感、抑うつ気分、ストレスなどを軽減するためにネットを使う」「ネット使用のせいで日常生活での人間関係や仕事や学業などに支障をきたす」といったものです。
実際に脳レベルでの研究もなされていて、その結果、IADとみなされる若者の脳の、思考や判断、社会性に関係する領域の一部が萎縮していることや、同じ脳領域の神経回路に異常が認められることが報告されています。
一方で、ネット利用が脳や心にむしろプラスになるといった研究もあります。
その代表例は、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と脳との関係です。SNSでの友人の数が多いほど、社会性に関係する脳領域(側頭葉など)が大きいというデータがあります。また、SNSでの友人数とリアルな社会での友人の数が相関するというデータもあります。つまり、SNSによって社会性がむしろ向上する可能性があるというわけです。
ただし、SNSによって発達するらしい脳領域と、実際の友人と交流する際に関与する脳領域は完全には一致しません。リアルな友人関係における交流のほうが、SNSでの交流よりもより多くの脳領域を使うため、脳の使い方という観点からはSNSは実際の友人関係にはまだ及ばないとみなせます。
※女性セブン2013年2月14日号