3月19日付けで辞任することを表明した白川方明(まさあき)・日銀総裁の後任人事はアベノミクスの成否の鍵を握るといってもいい。安倍首相は国会の同意が必要な総裁、副総裁と政策委員会審議委員候補の人事案を2月中に提案する構えで、有力候補には元副総裁の岩田一政・日本経済研究センター理事長や岩田規久男・学習院大教授、伊藤隆敏・東大大学院教授、財務省OBでは武藤敏郎・元財務事務次官や黒田東彦・アジア開発銀行総裁などの名前があがっている。
財務省は大物OBの指定席だった総裁ポストを取り戻そうと虎視眈眈とうかがい、安倍ブレーンの学者たちも金字塔の総裁ポストに目の色を変えている。
「1月15日には経済ブレーンの浜田宏一・内閣官房参与らが、総裁候補の1人でもある伊藤元重・東大教授とともに官邸を訪ね、その後、参院での国会同意のために協力が必要なみんなの党幹部のところにまで挨拶に回った。
危機感を募らせた財務省はそれを『露骨な猟官運動』『伊藤教授は組織運営の経験がない』とネガティヴ・キャンペーンを張り、麻生副総理や甘利経済再生相から『財務省OBも候補』といわせて安倍首相に巻き返しに出ている」(自民党幹部)
※週刊ポスト2013年2月15・22日号