日本で社会的論議を巻き起こしたイギリスの芸術家は、ロンドン郊外の自宅アパートで静かに口を開いた。
「日本で起きた議論には失望しています。猥褻に関する法自体は理解できますが、私の作品は写真でもなく実物でもない。女性の陰部を題材とした“アート”なんです」
世界20か国571人の女性器を石膏でかたどって、アート作品として展示したジェイミー・マッカートニー氏。自宅には虎の絨毯、象足のチェアー、そして女性器アートが飾られていた。本国ロンドンでは大反響を呼び、イタリアで展覧会も開かれるなど世界的な関心をよんだ。週刊ポストも昨年2回にわたって展覧会の模様を紹介し、日本でいち早くその熱狂ぶりを伝えた。
これを契機として日本では、「表現の自由が侵された」「アートといえども一定の規制が必要」といった猥褻論争が巻き起こった。マッカートニー氏はいう。
「僕の作品はポルノではないし、人々に危害を及ぼすものではない。むしろ人々にメッセージを与えるものだと考えています。女性器は十人十色で、“普通”なんてない。自らの性器にコンプレックスをもつ女性たちに、ありのままこそが美しいと思ってもらいたいと考え作品を作ったのです」
※週刊ポスト2013年2月15・22日号