男性同士の恋愛を描いた、ボーイズラブ(BL)は、今や同人誌市場を支える大きなジャンルのひとつとなっている。しかし、「BL」という言葉が登場する以前から、「やまなし・おちなし・いみなし」の「やおい」として、男性同士の恋愛を描く二次創作物の女性ファンは数多く存在した。
こうしたファンは2000年ごろから「腐女子」と呼ばれるようになり、女性向け同人誌業界を支えている。従来「BL」や「やおい」は“秘密の花園”して、女子がこっそりと楽しむものだった印象があるが、吉木りさのようにBL好きを公言する腐女子も増えている。
ところが、現在はBL好きを公言する“男子”が登場しているという。都内の私大法学部に通う男子学生のA氏(21歳)はこう語る。
「自分はインカレのオタク系サークルに入っています。メンバーが集まると、普通に男子もBLを読んでますね。積極的に好きだと公言している男子もいるし、腐女子メンツとも話しが盛り上がって楽しいんです。
同人誌って、エロだけじゃなくてギャグ本とかほのぼの系の二次創作物も多いんですよ。だから一人がハマると結構みんなに広まっていきましたね」
また別の会社員男性・B氏(25歳)も、女性向け同人誌にハマっているひとりだ。
「『けいおん!』が流行ったように、同性同士の“ホモソーシャリティ”って深層心理では男もけっこう好きなんですよ。それを少年誌の作品で、さらに二次創作で描くわけだから、ハマらないはずがない(笑い)
ちなみに自分の場合、男性同士の恋愛というよりも男同士の絆を描いた作品が好きなので、自然に読めます。そのなかに、恋愛という表現があっても構わないでしょう」
なるほど。恋愛も“絆”の一種と解釈できるようである。