スポーツの試合で中韓両国が対戦すると、罵り合いの火種が絶えることがない。ジャーナリスト・金明昱氏がレポートする。
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昨夏のロンドン五輪では中韓の“場外乱闘”が相次いだ。
事の発端は競泳男子400m自由形の予選だった。北京五輪で韓国競泳界に史上初の金メダルをもたらしたパク・テファンがフライングで失格になった。これを不服とした韓国チームが国際水泳連盟に異議を申し立てた結果、主張が認められて決勝へ進出。しかし、銀メダルに終わり2連覇はならなかった。
パクは金メダル候補だっただけに韓国国民のショックも大きく、たまったフラストレーションは予選で失格判定を下した中国人審判に向けられた。同種目で金メダルを獲ったのが中国の孫楊だったことも相まって、韓国ネチズンの間で署名活動によって審判を競泳界から追放しようという動きが起きた。
中国が韓国に猛抗議する騒ぎもあった。同じく競泳男子200m自由形決勝で、孫とパクが同タイムで共に銀メダルを獲得し、表彰式では国旗が上下一列に揚げられた。その際、韓国の旗が上で中国が下になっていたことに中国側が激怒。中国代表団が国際オリンピック委員会(IOC)に抗議し、以下の回答を受け取った。
「規定により2名の選手が同成績の場合、その国・地域の旗は並べて掲揚する。しかしスペースが足りない場合は、上下に配置してもよい。順序は選手の姓名の英語アルファベット表記に従い、孫の頭文字が『S』で、パクは『P』なので、韓国国旗を上にした」
この説明を受け入れるしかなかった中国だが、不満は募った。
※SAPIO2013年3月号