尾上家の跡取りである尾上菊之助(35才)と、播磨屋・中村吉右衛門(68才)の4女である波野瓔子(ようこ)さん(30才)の婚約は、暗いニュースばかりが続いた歌舞伎界に咲いた久しぶりの明るい話題だった。
菊之助といえば、これまで江角マキコ(46才)、知花くらら(30才)といった芸能界の美女との交際が伝えられた歌舞伎界きってのモテ男だ。それが一転、結婚相手に選んだ瓔子さんは名家出身とはいえ、銀座の高級宝飾品店「和光」に7年間勤務した一般の女性。だが、菊之助にとっては、瓔子さんでなければならない理由があった。
「音羽屋」の屋号を持つ尾上家は、歌舞伎の世界では名門中の名門で、特に“菊五郎”は市川團十郎と並ぶ大名跡。将来、その“菊五郎”を継ぐ、長男である菊之助は、市川海老蔵(35才)と並ぶ歌舞伎界の超プリンスだ。
だからこそ“嫁選び”は、慎重に行われてきた。象徴的な例が、江角との交際だ。堂々の交際宣言までして、尾上家に出入りし、父・菊五郎(70才)や母・富司純子(67才)にも気に入られて、結婚間近といわれていた江角だったが、結局はしきたりや段取りを重んじる梨園の壁を崩すことはできなかった。その理由として挙げられたのが、「バツ1」「11才という年の差」と「跡取り問題」だった。
「当時、菊之助さんは24才、江角さんは35才でした。梨園の妻に求められるのは、なによりも後継者となる男の子を産むことです。音羽屋のような名門になれば、なおさらです」(歌舞伎関係者)
結局、ふたりは半年足らずで破局してしまう。交際当初、江角をお気に入りと語っていた菊五郎だったが、途中からは「結婚云々となると違います」と断言するようになり、暗にふたりの結婚に“NO”を突きつけていた。
「菊五郎さんは、“嫁は家庭を取り仕切るだけでいい”というのが持論で、そもそも芸能人との結婚には反対だったんです。それは妻である富司さんに対する複雑な思いがあったからなんです」(菊五郎の知人)
東映の看板女優だった富司は、菊五郎と結婚した際、女優業を封印して家庭に入り、舞台裏から夫を支えた。しかし、結婚生活も10年が過ぎ、子供たちも大きくなると芸能界復帰を果たした。
「菊五郎さんは富司さんが表舞台に出ることを快く思っていません。芸能界の女性というのは、家に入っても自分のキャリアを完全には捨てられないかたが多いんです。それを間近で見ることになった菊五郎さんだからこそ、菊之助さんには常々、“結婚相手は一般人にしろ”と口酸っぱく言ってきたそうです」(前出・菊五郎の知人)
※女性セブン2013年3月7日号