数多くの新宗教が存在する日本。そんな巨大新宗教の中でも老舗といえるのが、奈良県天理市を発祥の地とする天理教だ。教祖の中山みき氏が神になったとされる1838年を立教年と定めている。教会や布教所が多いのが特色で、その数は約3万4000か所に上る(宗教年鑑による)。
「信者は独立採算で運営されている地域内の教会や布教所に所属し、そこで開かれる大祭や月次祭などで数千円の寄付をする。そうしたカネは上位の教会に上納され、最終的に本部に集められる仕組みになっている」(宗教学者・島田裕巳氏)
教団機関紙によれば、天理教本部の2011年度の一般会計決算は歳入歳出ともに約134億円。バブル期の89年度は約185億円だったから、約50億円も目減りしたことになる。
教団では聖域の四方を「おやさとやかた」と呼ばれる建物で取り囲む計画を推進している。一辺は約800mもの長さがあり、完成すれば壮観な“城郭”が出来上がることになるが、島田氏はこう指摘する。
「70棟近い建物が計画されているものの、20棟余りを建てた段階で息切れし、その後が続かない。資金面の負担が大きいのだろう」
それでも地元の天理市への毎年の寄付(2011年度は13億円)は欠かしていない。また、天理看護学院と天理医学技術学校を統合した4年制の天理医療大学が昨春開校した。高いレベルの医療を提供するとともに、若者の高学歴化に対応するのが狙いという。
※SAPIO2013年3月号