本格的な花粉症の季節に突入した。くしゃみや鼻水だけではなく、目が充血したり、顔がひりひりと赤くなったりと花粉症特有の症状はさまざまだが、どれもつらいもの。今年のピークは、関東より西で3月上旬、関東地方北部では3月中旬と予想されていて、しかも例年の6割増、昨年の3~7倍の量が飛ぶという(日本気象協会より)から深刻だ。
花粉症対策では、アレルギーの原因物質である花粉を体に寄せ付けないために、外出中はマスクで口や鼻を覆い、家に入る前には上着をはたいて服についた花粉を落とすなど“外から”の対策が大切だが、今注目されているのが、“内から”もできる対策だ。
医薬品を服用してアレルギー症状を抑える方法のほかに、ここ数年、注目されているのは、日常生活で免疫力を高めて症状を抑えようというもの。
腸内環境が良いと、免疫力が高くなり、アレルギー症状が緩和されたり、風邪をひきにくくなるらしい。
「乳酸菌は、腸内の免疫細胞を活性化させ、免疫系のバランスを整える働きがあることがわかっています。必ずしも生きた乳酸菌を腸に届ける必要はありません。それよりも、生菌・死菌に関わらず、数多くの乳酸菌を摂取することが肝心です」
そう話すのは東京大学名誉教授の光岡知足さんだ。乳酸菌は世界に200種類以上存在するといわれているが、科学的に研究され始めたのは約100年前のこと。健康や老化に関係していることがわかり、現在では整腸、免疫力増加、発がん抑制などの作用があることが知られるようになった。
「たとえばフェカリス菌は、菌体が小さいので一度に多くの量を摂取するのに適しています。また殺菌しても、整腸効果があるので、“腸まで生きて届かせる”ことに配慮しなくても良いことが分かっています。常温保存できる飲料・製品からも乳酸菌を摂れるので、消費者にとって利便性が高いといえます」(前出・光岡さん)
専門誌「薬理と治療Vol. 40 No.2 2012」(ライフサイエンスパブリッシング)の発表によると、人工的に一定数の花粉を散布した部屋に治験者が入り、フェカリス菌含有飲料(1本あたり1000億個)を毎日1本飲む前と8週間飲んだ後の花粉症症状を比較したところ、特に鼻づまりや眼のかゆみ等で改善が見られた。さまざまな種類の乳酸菌が出回っているが、花粉症症状の緩和が確認されているのは、フェカリス菌を含めて5種類ほどだという。
腸内環境は、人の顔が違うように個性があり、特定の乳酸菌がすべての人に同じような効果があるものではない。どの乳酸菌が自分に合うか、自分の体調を観察しながら試してみると良いだろう。