食道がんは過度の飲酒、肥満などが発症リスクで、特に飲酒後、顔が赤くなる人の食道がんリスクはそうでない人の12倍という研究結果もある。
初期は自覚症状が少なく食べ物がつかえる、飲み込みにくい(嚥下困難)、声が枯れるなどの自覚症状で、受診した時には6割が進行がんになっている。死者が毎年1万人以上に上るのは、早期に発見されにくい事情もある。
食道がんは扁平上皮がんと腺がんがあり、日本人は圧倒的に扁平上皮がんが多い。発生場所は食道の頸部、胸部、腹部のうち、ほとんど胸部に発生する。川崎市立川崎病院外科の小柳和夫担当部長に話を聞いた。
「食道がんの治療は、内視鏡的治療、外科手術、化学療法、放射線療法、術前化学療法、化学放射線療法などがあり、ステージごとに大まかに治療方針が決まっています。ごく早期では内視鏡的治療を、ステージ1~3では外科手術が第一選択となります。
遠隔転移やリンパ節転移などの手術が難しい症例や再発、患者が手術を望まない場合は、化学放射線療法を選択することもあります」
食道がんは胸部に発生することが多く、外科治療では胸部食道切除後、胃を引き上げて上部と繋ぐため、頸部切開と腹部切開も必要で手術時間も6~8時間かかる。比較的高齢で他の合併症を持っている患者も多く、手術に耐えられず化学放射線療法が選択されることも多い。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2013年3月1日号