民主党政権時代に議論された宗教法人課税問題が、自民党の政権復帰とともに一気にトーンダウンした。『宗教法人税制「異論」』(現代企画室刊)の著者で元国会議員秘書の佐藤芳博氏は、「今こそ宗教法人の優遇税制を見直すべきだ」と提言する。
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現在5%の消費税率が条件付きながら来年に8%、再来年には10%に引き上げられようとしている。しかし困窮する国民生活の現状を考えると、安易な消費税増税を行なうことは避けなければならない。その前にやるべきことがあるはずだ。それは宗教法人に対する優遇税制を抜本的に見直すことである。
宗教法人は税制面でさまざまな優遇措置を受けている。お布施、お賽銭、墓地の貸付、神前仏前結婚式の挙式など、本業の宗教活動の収入は全部非課税である。保有する境内地や境内建物の固定資産税や不動産取得税、都市計画税なども免除されている。
サイドビジネスも優遇されている。株式会社などの営利法人の基本税率が25.5%なのに対し、宗教法人が営む宿泊施設や駐車場、不動産賃貸といった収益事業は19%(所得金額年800万円までは15%)と低めの税率になっている。しかもそこから得た所得の2割は宗教法人本来の業務への寄付金として損金算入が認められているのだ。
こうした至れり尽くせりの優遇税制は「宗教は国民の道徳基盤を支えるものであり、間違っても法をたがえることはない」という宗教法人=性善説に基づくものだ。しかし昨今、税の申告漏れや脱税、不適切な収益事業の実施など、宗教法人の管理運営をめぐる不祥事が相次ぎ、さらに非課税特権を逆手にとってボロ儲けする“金満教団”も跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。今こそ宗教法人優遇税制を検討すべきである。
※SAPIO2013年3月号