中国に進出した韓国企業では、韓国人幹部と中国人労働者の間でトラブルが多発している。
昨年7月、江蘇省にあるサムスン電子の下請け会社の工場に地元民が押し掛け、資材を持ち去る騒動が起こった。朝鮮日報によれば、工場が負債を抱え、中国人労働者の賃金を未払いのまま韓国人幹部が夜逃げしたため、「悪徳企業」として抗議の”標的”にされたのだという。
山東省青島市には、「リトル韓国」と呼ばれるほど多数の韓国企業が進出している。ここでも経営不振に陥り、正式な会社清算手続きをせずに幹部が韓国に夜逃げするケースが多発している。中国の破産手続きは煩雑で時間も金もかかるため、それを嫌うらしい。
中国のネットには「棒子は最低だ」「民度が低い」「信用できない」「日本企業はちゃんと破産手続きを取るのに」といった書き込みが溢れている。「棒子(バンズ)」は中国人が朝鮮人・韓国人を罵る時に使う蔑称だ。かつての満洲国で、朝鮮人警察官が洗濯用の棒を警棒として使って横暴な態度を取ったことに由来する。「棒切れ野郎」というニュアンスだ。
上海にある韓国系企業で働く中国人がこう吐き捨てる。
「あの国(韓国)は歴史的にずっと中国の属国で、第2次大戦中は日本に支配された。だから劣等感が非常に強く、その裏返しでもの凄く傲慢な態度を取るんだ」
別の中国人によれば、韓国企業では「中国人に韓国国歌の斉唱を強制する」「中国人の守衛は韓国人社員に敬礼しなければならない」「中国人が退社する時、会社の物品を盗んでいないか、身体検査を行なう」ことがあるという。
●取材協力/フリーライター 西谷格(上海)
※SAPIO2013年3月号