アベノミクスによる景気回復への期待感は、連日の大メディアによる“援護射撃”もあって、日を追う毎に大きくなっている。 そして、遂にはリーマン・ショック以降冷え込んでいた消費者心理までをも溶かし始めたようだ。いま、市場では“アベノミクス特需”が起き始めている。
店頭で景気回復への期待感を反映して売れ始めた商品を探すと、共通するキーワードが浮かんでくる。いわゆる“大人の趣味”といわれるものだ。
「時計ではロレックス人気が復活し始めています。最近は50万円以上のタイプに主流が移りつつあります。男性で60万~100万円、女性で60万円くらい。特に男性は、高性能スポーツタイプの『デイトナ』を購入される方が増えてきました」(都内・輸入時計専門店)
大人の趣味の代表格、カメラも“復権”しつつあるようだ。銀座のカメラ店「レモン社」の渡辺隼人氏は、こう話す。
「ここ数年は値引きしても売れなかった通常10万円のライカが値引きなしで売れるようになってきました。20万~30万円のライカM8もよく動いています。また、フィルムのライカM6(10万~15万円)は趣味性の高い商品ですが、最近は来店してすぐ指名買いするお客様も珍しくないですよ」
音質への拘りでまだまだファンの多いオーディオ機器も高額商品ながら、動きが出始めた。
「50代、60代の方でもパソコンで音楽を聞かれる方が増え、ネットワークオーディオが売れています。特にイタリアメーカーのソナス・ファーベルの『ベネレ』シリーズが人気ですね。最も出ている2.5という商品で約35万円です。今年に入ってからは100万円を超えるクラスも売れ始めており、これまでよりワンランク上の品質を味わいたいというお客様が増えました」(都内の音響機器販売店)
身近な趣味の品である万年筆も人気を集めている。
「40~50代の男性を中心に5万円から7万円の輸入品のモンブランやペリカンといった高級ブランド万年筆が売れるようになりました。個人だけでなく、10~300本単位でまとめ買いされる企業も出始めました。こんなことは久しくなかったことで、政権交代の影響力を感じますね」(都内・丸善丸の内本店・文具担当)
※週刊ポスト2013年3月8日号