“肉は食べない”“カタカナ食材はNG”などのユニークな食事法が話題となっている若杉友子さん。立て続けに出版した著書は累計35万部を突破し、現在は料理教室や講演会で全国を飛び回る日々。76才にして朝から晩まで立ちっぱなしの生活でも疲れ知らず、白髪とも老眼とも無縁というその健康の秘訣は食を正すこと、すなわち「食い改め」にあり。
京都駅からJR山陰本線で約1時間・特急電車は京都北部の綾部駅に着く。ここから車でおよそ1時間ほど走ると、山峡に点在する集落が見えてきた。
「いんやぁ、こんなむさくるしいばあちゃんに会うために、遠いところをなぁ…」
玄関先で人なつこい笑顔を浮かべて迎えてくれたのは、若杉友子さん(76才)だ。
若杉さんがこの土地で自給自足の生活を始めて、かれこれ18年になる。現在、ひとり暮らしの住まいは、築175年の古民家で、玄関を1歩入ると、そこは台所に続く広い土間だ。
「水は山からもらっているから水道代はいらないし、薪を焚いて五右衛門風呂に入る。うちには冷蔵庫もクーラーも、電子レンジもないよ。電灯が4つほどあるから、月に1200円くらいの電気代はいるけど、ほとんどお金はかからんのよ」
あっけらかんと話す若杉さんの普段着は、濃紺の木綿でできた上っ張りに薄いちゃんちゃんこ、そしてもんぺに下駄履きだ。
驚いたのは、70代半ばを過ぎた今なお、背筋はピンと伸び、髪は黒々とし白髪もほとんどなし。老眼鏡なんて無縁で、国語辞典の小さな字まで読める。
「病気ぃ!? したことないなぁ。ここ30年ほど、健康診断も受けてないし、自分でも不思議なくらい元気。スクワットはね、毎日70回はやるし、縄跳びをすれば、うーん、100回は軽いよ、ハハハハ」
いやぁ、驚くべきこの元気パワー。その源はいったい、どこにあるのだろう。
「ひと言で言うなら、“良い食事”を心がけることだね。食べることは生きる基本やから。ご飯にみそ汁、それに煮物と漬け物っていう“一汁一菜”がいちばん。それとね、肉や卵、乳製品などの動物性たんぱく質は極力ね、摂らんことだよ」
こう話すのも、若杉さんが「食養研究」の第一人者だからだ。“食養”とは、食によって病気を予防し、心身ともに健康を維持しようという考え方。若杉さんが著した『これを食べれば医者はいらない』(祥伝社)、『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(幻冬舎)など、複数の著書がベストセラーになっている。今、全国各地で開かれる料理教室や講演会はいつも満員で、女性たちから“若杉ばあちゃん”と、厚い信望を寄せられているのだ。
※女性セブン2013年3月14日号