日本との代表戦になると、一方的にヒートアップするのがお隣の国のお約束。しかし今回の野球の世界一決定戦・WBCに関しては、その度合いがさらに増している。韓国の大手紙『中央日報』は「宿敵同士の戦争」(2月23日付)と題する記事を掲載、開幕前から煽りに煽っている。
スポーツの記事なのに、わざわざ「1910年から1945年まで日本の統治支配を受けた」として反日感情を丸出しにし、深刻な政治的対立を抱える「米国とキューバ」、「中国と台湾」と並列に論じる。その上で、過去の大会で活躍した李承ヨプや金泰均を“克日砲”、奉重根を伊藤博文首相暗殺の安重根に準えて“義士”と讃える。挙げ句「韓国はほとんどのスポーツで克日に成功した。後は野球だけだ」と鼻息も荒い。
この異常なまでの盛り上がりは何だろうか。背景にあるのは、近年の韓国における急激な野球人気の高まりである。韓国プロ野球ジャーナリストの室井昌也氏が解説する。
「きっかけは2007年、熱烈なファンの多いロッテ・ジャイアンツ(本拠地・釜山)が、長い低迷を抜ける健闘を見せて話題になったこと。その直後、代表チームが北京五輪で金メダルを獲得。28人中14人が兵役免除という若い編成で、多くの女性ファンを掴みました。そしてその後のWBCでも準優勝して、人気が爆発。今回は放映権を獲得したテレビ局や、ネット中継局が広告を増やすなど、過去最大級の盛り上がりです」
しかも韓国のWBC成績は12勝4敗で、負けたのは日本だけ。国を挙げた“克日”ムードの高まりも頷ける。
※週刊ポスト2013年3月15日号