中国に進出した韓国企業では、韓国人幹部と中国人労働者の間でトラブルが多発している。
韓国系企業で、韓国人幹部が中国人労働者を暴行する事件も起きている。2009年には、広東省にあるLGの系列企業の韓国人課長が下請け企業を視察した際、ちょっとしたミスを見つけて激怒し、中国人の責任者を殴って怪我をさせた。2010年には、広東省の塗装会社で不良品が発生し、韓国人幹部が中国人労働者に馬乗りになって暴行し、角膜を損傷させた。いずれも公になった事件だ。
暴力を振るうのは中国人も同じだ。
これは韓国企業の夜逃げが急増した2008年のことだが、朝鮮日報によれば、青島だけで韓国人幹部が中国人から監禁、拉致、暴行を受ける事件が、なんと1週間に4~5件も起きたという。
上海にある韓国系アパレル企業で働く韓国人は、中国人をこう非難する。
「中国人には仕事に対する責任感がまるで感じられない。韓国人の感覚ではその日の仕事が片付いていなければもちろんのこと、上司が残っていれば帰りにくいものだけど、中国人はさっさと定時に帰ってしまう。
仕事の質も悪い。中国企業に検品を依頼したが、糸がほつれていようがボタンが割れていようがまったく無頓着で、指摘しても『着るには何の問題もない』と開き直る。これがいかにひどいか、日本人ならわかるでしょ?」
中国に赴任している韓国人の多くが共通して言うのは「中国人は注意されると逆ギレする」ということだ。そしてもうひとつ、「金にはうるさい」。
ちなみに、韓国人が中国人を罵る時に使うのが「掌櫃(ジャングゥイ」が変形した「チャンケ」「チャンコラ」という言葉。清朝時代、中国人の商店主を「掌櫃」と呼んだことに由来する。「お金を管理する人、箱」という意味で、「貯金箱野郎」というニュアンスだ。
中韓罵倒合戦は止まらない。
●取材協力/フリーライター 西谷格(上海)
※SAPIO2013年3月号