前回の政権から6年の時を経た安倍晋三首相の変化を、周囲はどう感じているのか。安倍氏の「経済ブレーン」といわれる高橋洋一氏(元内閣参事官)と、安倍氏を長く取材し、政府の規制改革会議委員も務める長谷川幸洋氏(ジャーナリスト)が緊急対談した。
──安倍首相といえば、安全保障や歴史認識などの保守的なイメージが強いが、いつから経済・金融政策に興味を持ったのか。
高橋:メディアでは安倍さんは経済が苦手だと書かれているが、彼は細かい産業政策などチマチマした話に興味がないだけ。総理は一段高いもっと大きなことをやるべきだと考えていて、実は前政権時代から「マクロ経済に興味がある」といっていた。それをこの5年ほど、勉強し続けていた。
安倍さんは震災後からデフレ・円高解消の勉強会をやろうと言い出し、議連をつくった。当時から、人集めに動き出していたんです。
長谷川:その後、与野党いっしょに「デフレ脱却議連」をつくったんですよね。超党派の議連で、会長をどうするかということになって、山本幸三・衆院議員に頼まれて会長まで引き受けた。
高橋:そのくらいマクロ経済や金融政策に関心があったし、その頃から多数派工作も考えていたんだと思う。
長谷川:ところで、安倍さんの経済政策のブレーンである浜田宏一氏(イェール大名誉教授)を紹介した人物というのは、ずばり高橋さんでしょう?
高橋:そうなの(笑い)。浜田先生とは昔からの知り合いですが、先生は安倍フェローシップから研究資金をもらっていたので、「安倍さんに会われますか?」と聞いてセッティングしたことはある。安倍さんもすでに金融を勉強していたから。
長谷川:彼は世界標準、グローバルスタンダードにこだわっている。金融でも規制緩和でも、それから国防軍という名前まで世界標準に合わせようとする。
高橋:こういう姿勢はブレていないというより、DNAだね。細かいところに目が行く人と、そうでない人がいる。安倍さんは、大きなことに目が行くDNAなんでしょうね。
※週刊ポスト2013年3月15日号