過去2回、スーパースターを招集しながら評判倒れに終わってきた野球の世界一決定戦・WBCの米国代表。その投手陣の柱となるのが、昨季20勝を挙げたR.A.ディッキー(38)だ。魔球ナックルを武器に230三振を奪ったサイ・ヤング賞投手を直撃すると、
「スプリング・トレーニングは長すぎて退屈だから、WBCに出られるのはちょうどいい調整になるよ。日本にはナックルボーラーがいないんだろ? 多分、僕のナックルは打てないんじゃないかな」
と、余裕たっぷりの答えが返ってきた。変化球投手(ディッキーの投球は9割近くがナックル)だけに、肩の仕上がりが早いことも自信に繋がっているようだ。
実は、ディッキーはMLBでも有名な読書家でもある。好きな作家を聞くと、「ハルキ・ムラカミ」を挙げ、ロッカールームでは『ねじまき鳥クロニクル』『羊をめぐる冒険』の英訳本を読み耽っていた。これも“日本研究”の一環なのかどうかはわからないが……。
現地で米代表の取材をしたジャーナリストの出村義和氏が語る。
「ビッグネームは少ないものの、今回の米代表は中継ぎや抑えを充実させ、勝つためのメンバーを揃えている。3連覇を目指す日本代表にとって最大の難敵となりそうです」
ベテランの魔球使いには要注意だ。
※週刊ポスト2013年3月15日号