春は進学や進級など、子供にとって新たな世界が広がる季節。特に中学生や高校生は好奇心や求める情報の選択肢も増え、これまでの環境から外へ外へと興味が広がって行く。そうした中で「欲しい」あるいは「新しくしたい」と思う物のひとつが、携帯電話だろう。
サーベイリサーチセンターの行なった「新中学生、新高校生のケータイ・スマートフォン実態調査」(全国で今春新中学生、新高校生になる子どもの親2000名対象)によると、半数を超える51.8%が「新規購入もしくは買換を検討している」と回答。携帯電話を持つ子供も増え、中高生ともなると“周りもみんな持っているから”といった要因も増えてくる。
従来のフィーチャーフォンが通話やメールがメインだったことに比べ、スマホはインターネットやSNSなど、学習やコミュニケーションツールとして使える機能面が拡充。そうした影響もあってか、同調査でも全体の34.2%が「子どもにスマートフォンを持たせてもよい」と回答しており、新高校生の親では42.3%と半数に近い。また「子どもが欲しがっている携帯電話・スマートフォンの機種」「最も子どもに持たせたい携帯電話・スマートフォンの機種」は、共にiPhoneが人気となっている。そうした背景もあってか「子どもに持たせたいキャリア」1位はauとなった。
その一方で「スマートフォンへの不安」といった点では、「電話料、通信料などがかかりすぎないか心配」64.2%、「ゲームなどでの課金があるサービスでの高額請求」61.9%、「インターネットやメール、ゲームアプリに夢中になり、勉強しない」57.5%、「暴力・性などの有害情報サイトへのアクセス」55.9%、「出会い系サイトなどでのトラブル」48.0%、「ネット上のいじめ被害」41.3%、「チェーンメールでのトラブル」40.6%、「掲示板のトラブル」40.1%など、主に料金や課金・ネットトラブルへの心配が上位を占める。
しかしこうした心配や不安を理由に、“持たせない”といった選択をするよりも、親としては思春期の子供に自立や自覚を促す “教材”として、スマホを位置づけるというのも、ひとつの手だ。
料金や課金が伴うサービスの使用はもちろん、利用時間などのルールを決める際に、親が一方的に約束事を押しつけるのではなく、子供が「守るべきルールを自ら決める」形になるように話し合う。そうしたプロセスの中で、新しい携帯電話で“何をするのか?”“どういった使い方が、適切な範囲なのか?”が見えてくると共に、契約すべきプランや適用すべきオプションのサービスなどが明確になるメリットも。
特にスマホの場合は、通話やメール・インターネット以外にも多くのアプリがあり、音楽や動画コンテンツのダウンロード視聴も豊富だが、これらは無料のものばかりとは限らない。料金と安全性を両立するひとつの方法として、例えば「auスマートパス」など少額・定額制の取り放題サービスを予め子供に選ばせ、「その範囲内のものしか、使わない」といったルール設定も有効だ。こうした定額サービスの場合は、料金面の心配なく多くのアプリが利用できるほか、キャリア側の審査もあるため、セキュリティに関する懸念も払拭できる。
またセキュリティの不安といった点では、大人でもうんざりする迷惑メールへの対応も、予め注意を促したいポイント。大手キャリア各社もフィルタリング機能を強化しているが、特にauは迷惑メールの疑いのあるメールを自動検知して規制する「迷惑メールおまかせ規制」が標準で設定されるなど、迷惑メールフィルタリングへの取り組みが充実している。スマホではLINEなどのSNSメッセージ機能やEメールの使用が増え、見落としがちな部分ではあるが、キャリアメールもまだまだ根強いので、気にかけたいところだろう。
こうしたキャリアの機能も活用しつつも、トラブルなく使うために大切なのは、実際に使う子供自身の意識だ。大人へのステップを上りつつある年齢を尊重し、ルールを押し付けずに「守るべきルールを自ら決める」ことで、限られた範囲内で携帯電話を使うことへの納得度も高まるだろうし、自主性やモラルについて考えるきっかけにもなる。親としてはどうしても「まだ早い」「心配だ」といった気持ちになるが、子供の携帯デビューを「成長を促す機会」として、積極的に活用してみてはどうだろうか。