イレギュラーズアンドパートナーズは、同社の代表を務める人気ブロガー・山本一郎氏が、自分年金積立サービス「いつかは ゆかし」を提供するアブラハム・プライベートバンク株式会社に対する意見表明と、公開質問状をブログで発表したとプレスリリースで明かした。
「いつかはゆかし」とは、年利10%で月5万円を30年間積立することで1億円の貯蓄を作るというサービス。同社は販売会社を介さずに海外ファンドに直接積立できる新しい仕組みを作ることで、期間中の平均年利10%以上を目指して積立できるサービスを提供できるようになったという。そして、「1億円は貯められる。月5万円の積立で。」とのキャッチコピーで広告を出した。
この広告を疑問に思った山本氏は2月23日のブログで、実際に30年間で1億円になるか自身でシミュレートした結果を掲載。足し算と掛け算を30回繰り返すことで同社が提示する額を算出することができたが、同社に毎年支払うことになる投資助言料(積立残高の0.945%/年)やキャピタルゲイン税を考慮した場合は、7397万円という結果になり、山本氏は「明らかに有利誤認を導く誇大広告のシミュレーションですね」と指摘していた。
また山本氏は同社の法務担当取締役に、メールで上記の疑問に関する質問状を複数回に渡り送ったとのことだが、回答を得られなかったことを報告している。
これに対しアブラハム社は「一部ブロガーによる悪質なデマに対して、被害届の提出を検討」としたプレスリリースを3月4日に発表。「一部ブロガー」の記事で「無料シミュレーションと当社有償サービスの意図的な混同」がされており、風評被害が発生しているとしている。また一部ブログにおいて、虚偽記載などがあるとして、ブログ運営会社やインターネット・プロバイダーに当該ブログの削除を要請したことも明かしている。
このプレスリリースに山本氏はブログで「みんなこんにちは!一部ブロガーだよ!」と回答。3回にわたる質問に対して、同社から回答がなかったこともあって、ブログに書いたことを説明した。今回の意見表明では「嘘の宣伝で顧客を集め、海外金融会社の積立プログラムに勧誘して投資助言業では受け取ってはならない販売キックバックを海外保険会社から受け取っているのではないかという疑義が持たれています」とし、「疑義は正当なものであり、公益性の高いものと考えております」と強調。
山本氏は公開質問状で、以下の3点の質問を同社に投げかけている。
1:「直接海外ファンドが買える」という内容は虚偽広告の疑いがあるのではないか?
2:毎月5万円の積立30年で1億円は成立せず、過大広告ではないか?
3:アブラハム社は顧客にイギリス・マン島の保険会社・ハンサード社の積立商品を販売することによって販売手数料を別会社で受け取っているのではないか?
イレギュラーズアンドパートナーズのプレスリリースでは、「アブラハム社に対しては一週間後の3月14日18時までに公式に回答するよう求めております」と回答期限を明言している。