南海トラフ地震とは、静岡県沖から四国・九州沖にかけて伸びる浅い海溝(トラフ)で発生する巨大地震のこと。想定震源域によって東から東海地震、東南海地震、南海地震と3つの地震に分けられるが、このうち1つでも地震が発生すると残りの2つも“ドミノ式”に連動して地震を起こす可能性が高いとされている。
この3連動地震による津波は3大都市にも到達する。東京都の津波は中央区の2.3mが最大と推計されるが、油断はできない。名古屋大学大学院の川崎浩司准教授は首都圏も広く浸水する可能性があると主張する。
「発生時に2m級の津波でも何度も押し寄せて遡上するうち、予想以上の高さになることがあります。とくに東京・千葉は海抜が低く、船橋の三番瀬など防波堤のない干潟もあります。このため都内沿岸部では1mほど、千葉や神奈川の沿岸部では3mほどの浸水被害を想定する必要があるでしょう」
1mといっても、決してあなどれない。前出の川崎准教授が津波の威力を説明する。
「押し寄せる津波の威力はとても強く、30cmの高さで大人が流されることもあります。50cmだと自力で立つことがままならず、1mの津波に巻き込まれるとほぼ確実に死亡します」
※女性セブン2013年3月21日号