国内

南海トラフ地震 死者32.3万人で倒壊家屋238.6万棟との試算

 最大で死者32万3000人、倒壊家屋238万6000棟という身の毛のよだつ惨劇が想定されるのが「南海トラフ地震」だ。

 南海トラフ地震とは、静岡県沖から四国・九州沖にかけて伸びる浅い海溝(トラフ)で発生する巨大地震のこと。想定震源域によって東から東海地震、東南海地震、南海地震と3つの地震に分けられるが、このうち1つでも地震が発生すると残りの2つも“ドミノ式”に連動して地震を起こす可能性が高いとされている。

 この「3連動地震」は30もの都府県に壊滅的な被害をもたらすうえ、30年以内の発生確率が東海88%、東南海70%、南海60%といずれも危機が差し迫っている。

 国は2003年、1707年(宝永4年)に発生した南海トラフ地震を参考にM8.6で被害を算出し、死者を2万5000人としていた。しかし、「想定外」で衝撃を受けた東日本大震災の反省から再度調査、検証し、M9.1に修正。改めて試算した結果が冒頭の32万人を超える死者数なのだ。

 東日本大震災の実に20倍近い想定死者数は、2004年のスマトラ島沖地震の死者・行方不明者数約28万人をも大きく上回る人類史上最悪の事態だ。

 巨大な津波を発生させるプレート型地震である南海トラフ地震。実際に高知県黒潮町の34.4mをはじめ、静岡県南伊豆町で25.3m、三重県尾鷲市で24.5mと東日本大震災をはるかに超える大津波が予想されている。津波による浸水域は最大1015平方キロメートルと東日本大震災の1.8倍。被害想定マップでは、静岡県から四国・九州沖までの太平洋沿岸部一帯で津波は10mを超える。

 さらに恐ろしいのが、津波の到達時間だ。震源域が陸地から近いため、場所によっては大津波がわずか数分で押し寄せる危険性がある。

 さらに、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地震学)は静岡県の被災状況によっては全国規模でさらなる混乱を招くことになると指摘する。

「とくに危惧されるのが幹線道路、東名高速道路、東海道新幹線が海沿いを並走する静岡です。ここに10mを超える津波が襲来すると、日本の大動脈が東西に分断される恐れがあります。さらに静岡県内の浜岡原発には19mの津波が想定されますが、建設中の防潮堤はそれより1m低い。原子炉は運転停止中ですが、核燃料棒は保管されたままなので、福島原発のような状況になりかねません」

※女性セブン2013年3月14日号

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン