大幅な金融緩和を進め、インフレ目標2%を掲げる“アベノミクス”。さらに円安も進み、輸入品の価格も高騰している。
すでにその影響は出ており、たとえばガソリンは安倍政権の発足以来、およそ3か月で7.4%上がった。資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの全国平均は1リットル156円20銭(3月4日現在)。この影響は計り知れないというのは、経済ジャーナリストの荻原博子さんだ。
「4月から電気やガスの料金が上がるのは、原油の高騰が理由です。原発の問題もあり、日本は原油を燃料にする火力発電に一層頼らざるを得ません。
それだけではなくて、生産過程で石油を使う、トマトやきゅうりといったハウス栽培による農作物、加工食品。トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品。材料に石油製品を使う化粧品やメガネ、プラモデル。旅行も当然高くなります。
一見関係のなさそうなものでも、ガソリンが高くなれば飛行機や船、トラックなど、あらゆる輸送費が跳ね上がるため、今後、そうした影響が出てくるはずです」
また、4月から、電気料金は標準家庭で1か月当たり131円アップの7415円(東京電力)、ガス代は102円アップの5471円(東京ガス)となることが決まっている。
その他、すでに4月からの値上げが決まっているのは、サラダ油やオリーブオイルなどの食用油、ティッシュペーパーだ。
そしてもうひとつ、今後のさらなる物価上昇を引き起こす原因となるのが、やはり円安による輸入穀物の高騰だ。
小麦は政府がまとめて輸入し、製粉会社に売るシステムになっている。その値段が4月から9.7%アップすることが決定した。製粉各社はそれを受けて、夏頃から小麦粉の価格を上げると見られ、農水省の予測ではパン1斤あたり0.9円のアップ。小麦粉は1kgあたり8.5円アップすると見込んでいるのだ。
小麦は麺類の原料にもなっているため、ラーメンやうどんの値段にも跳ね返ってくる可能性が高い。
その他、とうもろこしや大豆も値段が上がっている。節約アドバイザーの丸山晴美さんはこう指摘する。
「とうもろこしの値段が上がることでじわじわと価格に転嫁されるのは、とうもろこしを飼料にする牛や豚、鶏肉ですね。さらに、それを加工したチーズやバター、マーガリンも値段が上がっていくでしょう。大豆は豆腐やみそ、しょうゆの原料ですから、円安が続くと、食料全般に影響が及んでいく恐れがあります」
※女性セブン2013年3月28日号