緑豊かな山に囲まれ、田畑が広がる埼玉県小川町。日中も人通りが少なく、静かなその町の一角にある駐車場に、2才の長男と1才の長女を乗せたその車は止められていた。
「子供2人が車の中でぐったりしている」──3月15日午後3時頃、わが子の異変に気づいた母親(33才)はすぐに119番。しかし約1時間後、搬送先の病院で死亡が確認された。
「子供たちは、5時間半もの間車内に置き去りにされていました。発見された時には、2人ともすでに心肺停止の状態でした」(警察関係者)
警察の調べによると、その日は、妻が夫(36才)に「保育園に連れて行って」と頼んでいた。夫は長男を車に乗せたが、その後、妻が長女を車に乗せたため、夫は「妻が2人を送っていくと思い、頼まれていたことを忘れてしまった」と説明しているという。
結局、夫婦ともに相手が保育園に送ったものと思い込んでしまい、わが子を死なせてしまったわけだ。まさに呆れた「勘違い」が招いた悲劇だった。
「実は事故があった当日の朝、ちょっとしたいざこざがあって、夫婦喧嘩していたそうなんです。それで、どっちが子供を送っていくの、いかないのと言っているうちに、口を利くのも煩わしくなったみたいで」(一家を知る人)
現在、警察は2人の死因は熱中症とみて調べているという。当日は晴れてはいたものの、現場付近の最高気温は14℃ほどで肌寒くさえ感じたという。しかし、事故発覚時、車内の温度は36℃にも達していた。
「車は太陽光が入ってくる窓が大きく、密閉性が高いため、すぐに車内温度が上がってしまうんです」(JAF広報部)
実際、JAFの実験によると、日中の最高気温が23.3℃と過ごしやすい日に停車させた車中の温度を測ってみたところ、運転席の顔付近では短時間のうちに48.7℃にまで上がったという。
※女性セブン2013年4月4日号