匿名性を盾に激しい差別感情が噴出するネットでは、エリートや“リア充”に対する妬みが渦巻く。そして、ネットにはネットならではの傾向や攻撃対象の選定がある。ネットに多く見られる差別とその心理について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が説明する。
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容姿に関する差別は多いが、いかにもネットらしいのが小太りへの差別だ。例えば、遠隔操作ウイルス事件で逮捕された容疑者の映像が流れた時には、「思った通り小太りだった」という書き込みが多く見られた。
メガネ、リュックなどとともに小太りがオタクの特徴と見られ、ネット関係の犯罪が起きると、犯人像として「小太りの男」が挙げられる。もっとも、そのような書き込みをする当人が小太りを自称することも多く、「どうせオレたちみたいな奴が犯人だろう」「またオレたちみたいな奴が逮捕された」といった自嘲的、自虐的な書き込みも多い。
年齢に関するものでBBA(ババア)がある。20代後半以上の女性は“ババア”だとして、「生きる価値はない」「産業廃棄物」などと罵る。事件や事故で20代前半までの女性が亡くなると嘆いてみせるが、死亡者が中年女性だと「腐った羊水が死んだ」などと読むに堪えない悪口雑言を書き連ねる。
※SAPIO2013年4月号