卒業式の朝、小学校生活最後の登校をするはずだった少年が、目を覚ますことはなかった──。3月22日、福島県二本松市の自宅アパートで、就寝中の長男・青空(せいら)くん(12才)の首を絞めて殺害したとして、母親の渡辺みゆき容疑者(33才)が逮捕された。
式が始まっても青空くんが登校しないことから、心配した担任教諭が自宅を訪れたが応答がなく、近くの駐在所に相談。同日午後8時、渡辺容疑者が「子供を殺した」と二本松署に自ら自首してきたという。
渡辺容疑者と青空くんは、小学校近くにある家賃4万円の2DKのアパートに母子2人で暮らしていた。
「お父さんとは、まだ青空くんが小学校に上がる前に離婚したみたいで…。お母さんは近所づきあいもほとんどなく、学校行事にも参加することのない物静かなかたでしたよ。青空くんもおとなしい子で、いつも放課後、校庭のブランコに1人で乗って遊んでいました」(学校関係者)
交友関係は狭かったが、その分、母子2人の絆は深かった。近隣住人がこう話す。
「お母さんはずっと牛乳配達の仕事をしていたんですが、配達で使う軽自動車の助手席には、よく青空くんが座っているのを見かけました。1日70軒ほど回るんですが、春休みや夏休みなんかは、いつもお母さんの配達に一緒に付いて行ってましたね。お母さんも“息子は寂しがりやなんで”って、照れながら話していました」
質素に、慎ましく暮らしていた2人。しかし、そんな生活にも陰りが見え始める。
「お母さんは、配達に使っていた車の調子が悪くなって、昨年4月に牛乳配達の仕事を辞めたんです。すぐに別の仕事を見つけるつもりだったので、生活保護はもらっていませんでした。でも、新しい仕事がなかなか見つからなくて…。
わずかな貯蓄を切り崩す生活が続いていて、今年に入ってからは、とにかく日々の生活にも苦労していたみたいです。“自治会の年会費1万2000円が払えないんです”って打ち明けられたこともありました。家賃の安い市営住宅に移ろうとも考えたらしいんですが、“どこもいっぱいで入れなかった”とも…」(前出・近隣住人)
彼女の両親も同県内に住んでいたのだが、折り合いが悪く、援助は求めていなかったという。せっかく中学に進んだ息子との生活そのものが、立ち行かなくなるかもしれない…その現実を前に、渡辺容疑者は絶望したのだろうか。
「生活があまりに苦しく、将来が不安だった。息子を殺した後で首を吊って自分も死のうとしたが、どうしても死にきれなかった」
警察の取り調べに、彼女は泣きながらこう話しているという。
※女性セブン2013年4月11日号