日経平均株価が3か月で3000円も上昇したのを見て、腰の重い日本の個人投資家もようやく動き始めている。
カブドットコム証券では、1月の新規口座の開設数が前月の2倍近くに急増。2月に入ってから、ネット証券大手4社の開設数は前月比15%増の約1万8000口座も増えた。
それでも銀行や生保など、日本の機関投資家はいまだに売り越している状態だ。直近のデータ(3月第2週)でも約5億円の売り越し。3月末決算を前に利益を確定させた後、ようやく本格的に買いを入れてくると見られている。
そんな足の遅い日本の投資家を横目に、足の速い外国人投資家はすでに莫大な利益を上げている。
野田前首相が解散宣言をした昨年の11月14日から現在の上昇相場が始まっているが、その11月第2週から外国人投資家は買い越しに転じている。それから一度も売り越しになることなく、徹底して買い越し続け、3月中旬までの累計買越額はおよそ6兆円に達した。いまさらいうまでもないことだが、アベノミクス相場を作ってきたのは、日本人ではなく外国人だったことの証明である。
「日本にようやくバブルがやってきた」という謳い文句につられ、最近になって買い始めた国内の投資家はまだまだ株価は上がると信じたいところだろう。しかし、すでに外国人投資家は大きな利益を手にしているので、今までに買った株をいつ売って利益を確定させるか、という出口戦略を練り始めている。
アメリカ系ヘッジファンドの運用担当者がいう。
「日本の株高はアベノミクスへの期待感だけで、実体経済の伴わない単なる金融バブルだ。そんな危なっかしい相場で、成長余力のある中小型株を買って長期保有で儲けるなんて少しも考えていない。
外国人投資家にとって日本株はトレーディング・ストック、つまり短期売買で値上がり益を稼ぐ道具というのが共通認識。その証拠に、いつでも利食いをして資金を引き揚げられるよう、流動性の高い大型株しか買っていない」
※週刊ポスト2013年4月12日号