神戸・南京町は横浜、長崎と並ぶ日本三大中華街として愛される町。特筆すべきは分煙環境の整備に力を入れていること。
中華料理店や雑貨店など、100店舗以上が軒を連ねる南京町。異国情緒漂う通りや中心部の南京町広場は人々で賑わい、店先で豚まんやチマキを蒸す湯気に呼び声が混じる光景は活気に満ちている。
そんな南京町が“快適な町”を目指す一環として取り組んでいるのが『分煙タウン化』。公共の喫煙所設置はもちろん、各店に喫煙可、禁煙、時間帯分煙などがひと目でわかるステッカーを貼り、たばこを吸う人にも吸わないに人もやさしいおもてなしを行っている。
「私どもが分煙タウン化に取り組む以前は、喫煙環境はあまりよくありませんでした。路上喫煙者もいたため吸い殻のポイ捨ても多く、店内では煙によるお客さん同士のトラブル、店への喫煙に対するクレームもありました。
だからといって、たばこを全面的に制限しようとは思いませんでした。おいしい中華料理をお酒やたばこを楽しみながらゆっくり味わいたいと南京町に来てくださる人も多いからです」と、南京町商店街振興組合理事長の曹英生さん。
試行錯誤した結果、入店前に情報を伝える手段として喫煙ルールステッカーの作成、公共喫煙所の設置及びその作成を行った。ステッカーは喫煙可、禁煙、分煙、喫煙席・禁煙席の席数、時間帯分煙の5種類で、各店の喫煙ルールにあわせて店先に貼ることに。
当初、店主たちはステッカーを貼ることでお客さまが減るのではとの戸惑いもあったが、杞憂に終わった。アンケート調査でも、喫煙者、非喫煙者とも約9割の人が分煙タウン化に賛成で、他の商店街などへの普及もするべきとの結果も。
「今では取り組み成功への評判が全国に広がり、地方の商店街の人たちが視察に訪れるなど、たばこを取り巻く環境改善が求められていることがよくわかります。私たちもさらによい環境作りに向けて努力したいと思います」(曹さん)
※女性セブン2013年4月11日号