テレビ局にとって4月といえば、番組改編の季節だ。新番組を始める前に、ディレクターや構成作家は、番組のキャスト案を提出する。そのなかに、最近ひとつのトレンドがあるという。構成作家のひとりは語る。
「ゴールデンタイムの番組だと、必ずといっていいほど『キャスト案には主婦を必ず入れろ!』といわれます。『おばさんが入っていないじゃないか! これじゃ、主婦が共感できないよ!』と激怒するプロデューサーもいますね。
今、テレビをオンタイムで観るのは、主婦ばかりだという固定概念が局側にあるからです。実際、視聴率分析を観ると、F2(35~49歳の女性)やF3(50歳以上の女性)のいわゆる主婦層が目立ちます。だから、キャストだけに限らず、番組自体を主婦向けに作る“主婦目線番組”が激増しているのです」
録画機器の発達や娯楽が多様化するなか、若者のテレビ離れが進み、ゴールデン帯にテレビを観ているのは主婦層の割合が多くを占めるといわれる。だが、主婦向け番組ばかりを制作していては、テレビ局自体が地盤沈下を起こすと考える向きもある。
「もちろん、主婦層がテレビをよく観ているのは間違いないと思います。ただ、主婦層は“変わらないこと”を求める傾向にあるので、新しい斬新な企画がほとんど望まれなくなるんです。
それに、主婦層に合わせた番組ばかりを作っていたら、ますます若者がテレビを観なくなる。主婦層を捕まえることも大事だが、テレビの歴史を検証すれば、若者を取り込むことは絶対に欠かせない。若者をもう一度テレビに戻す企画作りが必要なはずです」(同前)
果たして、4月の改編で、若者の心に響く新番組は出現するのだろうか。