スポーツ

全柔連の現役幹部「今の幹部の関心は地位とカネと名誉だけ」

 女子選手への体罰、パワーハラスメントに端を発する全日本柔道連盟(全柔連)の不祥事は、日本スポーツ振興センターの助成金不正受給騒動へと発展し、底なしの広がりを見せる。それでも上村春樹会長以下、執行部は全員留任。責任の所在は曖昧にされたままだ。

 そして、今は明治大派や東海大派による「学閥」による派閥抗争も存在する。危機感を覚えた全柔連の現役幹部が、自浄作用を失った組織の実態を本誌に独占告白した。

 * * *
 パワハラ問題で辞任した園田隆二・前全日本女子監督は明大卒で上村会長の子飼いです。それでも会長を辞めさせられなかった理由は問題になっている助成金のバラマキにあります。
 
 助成の対象者は日本オリンピック委員会(JOC)が決め、年間120万円が個人口座に振り込まれます。2012年度、全柔連で助成を受けたのは47人でした。そのなかに指導していないのに助成金を受けた理事がいた。1人は公にも不正受給を認めて辞任しましたが、実は不正が疑われる者は、20人近くいるのです。
 
 なぜ指導者でもない理事に助成金を与えたのか。それは派閥を維持するためです。派閥領袖の政治家が所属議員に「もち代」を渡すのと一緒。受け取った理事は運命共同体なので、今回も上村会長に辞任を求める声を上げられなかった。実際、不正受給した者の大半が上村さんを支持する立場だと思います。
 
 また、助成金120万円のうち40万円を全柔連にバックする慣例も問題視されました。バックされた資金の口座は強化委員長が管理し、親睦会費や海外団体との交流、接待などに使われていました。問題が発覚したとき、上村さんが「全柔連の口座ではなかったのでわからなかった」と、人ごとのようにいっていましたが、無責任極まりない。
 
 強化委員会は、前委員長の吉村和郎・前強化担当理事を含め、上村会長が任命していました。そもそも、上村会長はこの1月までJOCの強化本部長として助成受給者の審査にあたっていた。見抜けなかったでは済みません。
 
 それら不正受給の情報は非主流派の東海大閥から流れたといわれています。佐藤宣践副会長周辺にルートがあるスポーツ紙がスクープしたからです。
 
 騒動で指導者の助成金が凍結されたことは自業自得ですが、選手まで白い目で見られ、指導を受けるのに支障をきたすのはかわいそうです。今の幹部の関心は自分たちの地位とカネと名誉だけです。執行部は全員退陣し、学閥も、派閥もすべて無くし、一からスタートするしかありません。

※週刊ポスト2013年4月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

メキシコのシェインバウム大統領(左)とトランプ米大統領(AFP=時事)
《ゾンビタウンも》トランプ大統領が関税措置の理由に挙げた「フェンタニル」問題 日本にとっても他人事ではない背景
NEWSポストセブン
水原被告がついた「取り返しのつかない嘘」とは
水原一平被告がついた「取り返しのつかない嘘」に検察官が激怒 嘘の影響で“不名誉な大谷翔平コラ画像”が20ドルで販売
NEWSポストセブン
折田氏が捜査に対し十分な対応をしなかったため、県警と神戸地検は”強制捜査”に踏み切った
《「merchu」に強制捜査》注目される斎藤元彦知事との“大きな乖離”と、折田楓社長(33) の“SNS運用プロ” の実績 5年連続コンペ勝ち抜き、約1305万円で単独落札も
NEWSポストセブン
ギリギリな服装で話題のビアンカ・センソリ(インスタグラムより)
《露出強要説が浮上》カニエ・ウェストの17歳年下妻がまとった“透けドレス”は「夫の命令」か「本人の意思」か
NEWSポストセブン
四川省成都市のPR動画に女性社長役で出演した福原愛(写真/AFLO)
福原愛が中国で“女優デビュー”、四川省の“市のPR動画”に出演 バッチリメイクでハイヒールを履きこなす女社長を“快演”、自虐的な演出も
女性セブン
ベルギー・サッカー元代表でコカインの密輸に関与した疑いで逮捕されたラジャ・ナインゴラン(Xより)
《欧州サッカー界のトラブル男》首に赤い薔薇、右手に謎の日本語…全身タトゥーの“赤い悪童”(36)がコカイン密輸疑惑で逮捕
NEWSポストセブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン
大木容疑者(共同通信)。頭部が遺棄された廃マンション
《東大阪・バラバラ遺体事件》「部屋前のインターホンが深夜に鳴った。それも何度も」女性住民が語った“恐怖のピンポン”「住民を無差別に狙っていたのか…」
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン