子供たちが胸躍らせて迎える、入学シーズン。この時期は、ママたちにとっての大切な人間関係のスタート地点でもある。同い年の子供を持つ親同士のつきあい、いわゆるママ友関係が同時に始まるからだ。
子供の学校の情報を交換したり、悩み事を相談し合ったりできるママ友は、何かと心強い存在ではあるけれど、一方では悩ましい声も聞こえてくる。
昨年、長男が地元の小学校に入学したA子さん(37才)は、同じ新興住宅地に住むママ友たちと、それなりに親しい関係を築いてきた。ところが先日、ママ友グループのランチ会に参加した時のこと。飲み物もそんなに欲しくなかったし、節約したいという気持ちもあって、A子さんはひとりだけドリンクバーを注文しなかった。すると──。
「次からランチ会に全然呼んでもらえなくなったんです。近所で顔を合わせても挨拶もしてくれず、完全に孤立。“そんなに節約するなんて、ランチに誘ったらかわいそう”と見られてしまったみたい。“私たちとおつきあいできる生活レベルじゃない”と烙印を押されたようで、ものすごく嫌な感じです…」
ママ友関係は、たまたま子供が同じ年齢で、同じ学校や習い事に通うというだけの理由で始まることがほとんどだ。もっとドライに割り切ってもよさそうなものなのに、いつの間にか違和感が生じているのはなぜだろうか。主婦や母親の実態に詳しい作家の石川結貴さんがこう言う。
「ママ友づきあいの怖いところは、ただの友達関係のはずが、知らず知らずのうちに自分が“格付け合い”に巻き込まれてしまうことです。ママ友と上手くやっていくために、母親は自分がどのあたりの“ランク”にいるのかを慎重に見極めながらつきあっていく。
誰が上で、誰が下で、誰が同じくらいなのか──いつのまにか、そうしたことを自然と考えるようになり、ママ友たちの間に格付けがあることをさも当然であると考えるようになってしまうんです」(石川さん)
互いに格付け合うことで生じるママ友間の「格差」。それが特に近年苛烈さを増し、ヒンドゥー教にまつわる身分制度「カースト」になぞらえて「ママカースト」と呼ばれるほどだ。
※女性セブン2013年4月18日号