4月は子供達の新しい友達関係ができるのと同時に、ママ友が増えるシーズンでもある。そのママ友のコミュニティには「ママカースト」と呼ばれる格付けがあるという。なぜ母親たちは“格付け”を意識し、“格差社会”をつくりあげてしまうのか。
その根っこにあるのは、小さな競争心だと話すのは、エッセイストの鳥居りんこさんだ。
「ママ友の会話って、お互いの競争心に火をつけやすいんです。例えば、子供のおむつひとつとってもママ友の間では競争になります。1才で外れる子もいれば、3才になってもまだの子もいる。自分の子供が他の子より早く外れるとうれしくてママ友に話すものですが、遅かった場合は、その逆。同じ年頃の子供がおむつが外れた話に、オモテでは“早いね~”と笑顔をつくりながら、内心では焦りを感じたり、他の子の親をうらやましく思ったりします」
もちろん、おむつはほんの一例。ママ友間の会話でテーマになりがちなこんなキーワードも、競争心を刺激するきっかけになりやすい。
「夫の職業や収入、実家の資産、子供のルックス、学力、運動神経、どこのブランドの靴を履いているか、服を購入する場所はどこか、何の化粧品を使っているか、などなど。大きくは生活レベルと子供の能力ですが、ありとあらゆる基準で比較し合うようになります」(鳥居さん)
こうした会話のなか、ママ友間では、上層、中層、下層とグループが分かれ、さらにそのグループ間でも細かく序列が定まっていくようになる。
各ママ友グループをまとめるのは、いわゆる“ボスママ”といわれる存在だ。『ママ友のホンネ。』(ぶんか社)などの著書があり、100人を超えるママ友がいるという漫画家・又野尚さんは、これまでの経験から、ママ友グループをひと目見れば、誰がボスかがすぐにわかるという。
「スーパーのレジでベテランがすぐにわかるのと同じで、ママ友のなかでも自信満々にしている人が、たいていそのグループのボスです。上層グループにいる人は、おおむね自己主張が強く、まわりより抜きんでているものがあります。例えば、外車に乗っているとか、夫がいい会社に勤めているとか。行動や言動に自信があふれています。逆に中層、下層グループのかたはどこか自信が見られません」
子供が地域の野球チームに入っていれば、「エースで4番」の子供のママが自ずとボスに君臨すると、又野さんは言う。
「エースで4番のお母さんには誰も逆らえません。コーチのかたからも一目置かれて大事にされます。試合の応援に行く時も、『ピッチャーの○○くんのママはいちばん前の見やすい席で』みたいにして自ずと応援場所が決まる。チームが試合に負けたとき、エースで4番の子のママが泣き崩れて、『まわりがもっと上手だったら』と言った時には、さすがにまわりの子の母たちは全員固まりましたけど(苦笑)」(又野さん)
※女性セブン2013年4月18日号