同じ日本でも食文化がまったく違う、関東と関西。関東の常識でオーダーしたら、関西ではまったく違うものが出てきたというハプニングを経験したことがある人もいるはず。
そのひとつが「たぬき」だ。関東ではそばに揚げ玉がのっているそばのことをいうが、京都ではたぬきといえばきざみの油あげが入ったうどんにあんをかけたものを指す。「京うどん生蕎麦 岡北」の店主・北村正樹さんが言う。
「京都のきつねうどんはきざみあげ(油あげをきざんだもの)を入れ、これにかたくりや吉野葛でとろみをつけ、あんをかけたものをたぬきといいます。あんをかけ“ドロンと化かす”というのが名前の由来という説もあります」
ちなみに大阪では、昔は油あげが入ったそばのことを「たぬき」と呼んでいた。
東西の嗜好の違いは味つけだけでなく、調理法や具の選び方にも表れている。関東で肉といえば牛、豚、鶏肉なども含まれるが、関西では牛肉を指すことが多い。
「家計調査を見ても関西府県の牛肉の購入額は関東の2~5倍です。これは明治初期に外国人が多く居住した神戸で和牛が食用として利用されるようになり、関西では牛肉を食べる文化が広まっていったからです」(地理学研究者・宇田川勝司さん)
この影響からか関東では豚肉を使う肉じゃがも関西では牛肉を使用。
「庶民的なおかずの肉じゃがも“肉”とつくからには、牛を使いたいという気持ちが強いのだと思われます」(宇田川さん)
※女性セブン2013年4月18日号