みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある。週刊ポストに連載する『死に方上手』で同氏は、理想とする自分の葬儀を唱えている。
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もし私が今死んだなら、どんな葬儀になるだろうか?
この連載でいってきた色々なアイデアをふんだんに盛り込むのは当然として、“今”ということを考えれば“ゆるキャラ葬”という葬儀も可能かもしれない。文字通り、全国のゆるキャラが集まって、私を弔うのだ。
ゆるキャラの命名者として断言する。“ゆるキャラショー”というのは過去に何度か行なわれているが“ゆるキャラ葬”というのはまだ一度も行なわれていない。ゆるキャラ葬のハイライトは出棺だ。
ブルース・リーの葬式では、リーの空手の弟子であるスティーブ・マックィーンとジェームズ・コバーンが棺を担いでいて、私はそのシーンにグッときたのだが、それ同様に、私の棺をゆるキャラたちが担ぐのだ。
多くのゆるキャラは表情が明るい。決して悲しい表情などできない。それが、葬儀特有の辛気臭さを和らげてくれるに違いない。
葬儀というと必ず子供が飽きてしまって、泣いたり騒いだりするのだが、ゆるキャラがいれば、子供も飽きずに静かにしているに違いない。
そうだ、私の葬式に限らず、誰の葬式でもゆるキャラを呼んだっていいじゃないか。
※週刊ポスト2013年4月19日号