4月になり、学校や職場へ新たに迎えたメンバーのため、親睦を深めようと食事会を開いたり、花見やバーベキューを予定している人も多いだろう。こういったとき、楽しい思い出にと写真を撮ったはよいけれど、どう整理しようか、どうやって参加メンバーに見てもらおうかと途方に暮れてはいないだろうか。結局、印刷して回覧しなければならないのかと思っても、自分が撮った枚数を見るとうんざりしてしまう。
印刷せず皆に写真を見てもらうなら、インターネットの写真共有サービスが便利だ。目的別に、どんなサービスがあるか紹介していこう。
【1】決まったメンバーだけに写真を見せたい
もし、メンバー全員がFacebookに登録しているならば、そのアルバム機能がある。アルバム単位で「公開」「友達」「自分のみ」「カスタム」の4種類の公開レベルを選択できるので、写真を見てもらいたい人が決まっている場合は「カスタム」を選び、閲覧できる人を指定する。ここには「シェアしない相手」という、見られたくない人には写真を見せないという、ちょっと意地悪な選択肢もある。
すべてのメンバーが同じSNS登録をしているわけでもなく、本音を言うとSNSで「友達」になることを避けたいケースもあるだろう。その場合は、相手のメールアドレスさえわかれば、オンラインアルバムを指定のメンバーだけで閲覧できるサービスを提供している「Picasaウェブアルバム」がある。
Picasaもアルバム単位で「一般公開」「友だちの友だちサークル」「あなたのサークル」「限定公開」「自分だけ」と公開レベルを選べる。アルバムを作成するときに「限定公開」を選び写真をアップロードし、「リンクでアルバムを共有」を選択して限定公開専用のURLを取得する。このURLを各々のメールアドレスへ送れば、そのURLを知っている人だけが見られるアルバムとなる。インターネットに接続できるのであれば、PC、スマホはもちろん携帯電話、ウィルコム端末でも写真が見られる。
メールアドレスへURLを送るだけでは不安だという人向けには、「30days Album」というサービスもある。アルバム単位で公開レベルを設定するのは他のサービスと同じだが、ユニークなのは閲覧するための“合いことば”を決めることだ。ただし、30日間しか設定できないので、それ以上長く利用したい場合は、延長手続きをとる必要がある。
【2】広く大勢の人に見てもらいたい
とてもきれいに撮れた写真を友人知人だけでなく、より多くの人に見てもらいたい場合は、写真共有をメインにうたいSNS機能もあわせ持つサービスが向いているだろう。
日本でもっとも多くの人が登録している「フォト蔵」では、定期的に日本の季節にあわせたテーマタグで写真を募集している。より多くの人から見てもらうには、探してもらいやすいタグを使用すると閲覧数増加に高い効果がある。そのタグを、「フォト蔵」ならば日本語でつけられる。
世界中の人たちから写真を見てもらいたいと願うなら、登録写真枚数が50億を超える世界最大のサービス「Flickr」がおすすめだ。無料サービスも提供しているが、有料サービスでの使い勝手の良さが評判を呼び、プロのカメラマンも多く登録している。
アップロードした写真にタグを使用して写真の認知度を高めたり、テーマ別のユーザーグループに参加して交流を深めるSNS型である点は「Flickr」も「フォト蔵」と同じ。ただし、日本語対応されていないため、使い方のマニュアルを読んだり、コミュニケーションを図るには、基本的に英語を使用する。
「フォト蔵」も「Flickr」も、基本的な設定をする際はPCを利用することを想定している。どちらもスマホ用のアプリが提供されているが、スマホしか利用しない人にはかゆい所に手が届かない。その点、「Instagram」はスマホネイティブと呼べるサービスだ。
写真のツイッターとも呼ばれる「Instagram」は、iPhoneでのみ利用可能なサービスだったが、昨年春にAndroid版がリリースされると爆発的に利用者数が増え、今や1億人を超えている。写真の加工オプションが豊富で、色調を変えるだけでなく、手書き風やフィルム風の縁取りをつけるなど、素人でもプロ風の効果を気軽に楽しめるのが人気だ。
ここまで多くの人に自分の写真を見てもらえるサービスを紹介したが、これらの多くは、閲覧制限をかけないと見ず知らずの人にも写真を保存出来てしまう。ある東日本大震災の被災者は、家族や友人との思い出のためにアップロードした被災地の写真を、見ず知らずの人に勝手に流用され傷ついていた。ちなみに、ここまで紹介したサービスのなかでは「Flickr」と「Instagram」だけが、簡単に写真を保存できない仕様になっている。
【3】とりあえず、大量にある写真を保存・整理したい
最後に、たくさん撮った写真をどうやって保存整理したらよいのか困っている人へ、とにかく写真共有サービスへアップロードする便利さを伝えたい。というのも、いずれのサービスもアップロードした日時順に自動的に写真を並べてくれるからだ。また、ここまで紹介したどのサービスも、写真を“自分だけが閲覧”するように設定できる。誰かと共有する目的がなくても、整理のためにとりあえずアップロードするのをおすすめする。
ただし、アップロードした日時順に並ぶだけでは、1年前の写真を改めて追加した場合に区別がつかない。「Flickr」のアーカイブで撮影日順を選ぶと、画像に記録された撮影日時データの順に並べ直してくれる。だが「Flickr」は無料で利用できる容量が1か月あたり100MBしかないため、一眼レフで写真をたくさん撮る場合は、すぐに容量を超えてしまう。
無料で利用できる容量は「フォト蔵」が1か月あたり1GB、1か月を過ぎると改めて0から始められるので、長い目で見れば無制限と同じ。「30days Album」はアルバムには150枚までで、保存は2GBまで。「Picasa」は1GBまでだが、超える場合はアップロードされた写真を自動的に小さくし、アップロード枚数が事実上、無制限になるよう対応している。
写真共有サービスには、それぞれに特徴がある。もっとも優先したい機能は“友だちとの共有”なのか、“多くの人に見てもらいたい”のか、“保存したい”のか。保存したい場合は、オリジナルサイズにこだわるのか、とりあえず保存されればよいのか。撮った写真をどう楽しみたいのかを考えて、さまざまなサービスを利用しよう。