プロ野球シーズンが開幕したが、球界での「常識」も、その理由となると答えに窮するものが多い。
例えば、一塁への走塁では、「ヘッドスライディングよりも駆け抜ける方が速い」といわれてきたが、これは本当なのだろうか。
日本プロ野球史上最多盗塁(1065個)を誇る福本豊氏の話は説得力がある。
「そもそもスライディングというのは、二塁や三塁、あるいはホームベースでのタッチをかいくぐる時に効果を発揮する。一塁はタッチプレー不要やし、走者も走り抜けることが認められているんやから、トップスピードの状態で走り抜ける方が当然速い。なんでわざわざ、グラウンドとの摩擦を生むような動作をする必要があるのか」
ただ最近では一部で、コンマ数秒ヘッスラが速いという実験データも出ているが、と水を向けると、
「相当巧い人ならそういう結果も出るでしょうが、それが万人に適用されるわけじゃないし、大ケガをするリスクと釣り合うほどの差ではない。野手に踏まれて骨折したり、脱臼したらどうするの。その1回のケガが選手生命に関わることもあるんですよ」
※週刊ポスト2013年4月19日号