独裁国家を批判し、政府公式サイトの書き換えなどを行なってきた「アノニマス」。
その国際的ハッカー集団が北朝鮮の韓国向け宣伝用サイト「わが民族同志」にハッキングし、会員情報約1万5000人分を公開したところ、会員にNHKソウル支局長や厚労官僚、北朝鮮問題に詳しい大学教授ら日本人の名前も混じっていたため、ネット上で「北のスパイ」と批判されている。
小誌取材に、NHK支局長は「取材活動の一環として登録しましたが、韓国ではアクセスしていません」。また、厚労官僚は「(宣伝サイトの会員であるとの)事実はない」と返答だった。
韓国内でも名前があっただけで北との関係を疑うのは「魔女狩りに等しい」との議論が起こっている。朝鮮半島問題を取材するジャーナリスト・高英起氏の話。
「サイトは北が公式に発表する貴重な情報媒体。事件がきっかけで閉鎖されたらどうするのか。北の閉鎖性が高まり、外からの監視も叶わなくなる。アノニマスは独裁体制に反対するメッセージを示すためサイバー攻撃したそうですが、我々取材側としては大迷惑です」
アノニマスは今後、政府のインフラネットを無力化させることを表明している。ハッカー集団が掲げる“正義”が議論の種になりそうだ。
※週刊ポスト2013年4月26日号